Hirayaブログ

@fumi_mdのブログです。たまに何かを書くと思います。

これから個人でゲームアプリを作ろうと思っている人へ伝えたいこと

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先日「7年後で待ってる」というゲームアプリをリリースしました。

7年後で待ってる(iOS)

7年後で待ってる(Android)

その宣伝もかねて、ブログをはじめたら一度はこういう記事を書いてみたかったので少しチャレンジしてみようと思います。

ちなみにタイトルの「これから個人でゲームアプリを作ろうと思っている人」とは「1年半前の自分」のことです、つまりタイトルを言い換えると「昔の自分に伝えたい事」ですね。

プログラミング未経験でも作れる?

作れます。

僕は別に昔を知っているわけではありませんが、今はとても簡単にゲームを作れる時代になりました。事実、僕もプログラミングは未経験です。*1 「サンプル数1で偉そうなことを言うな」というお叱りもありそうですが、実際のところ全くの未経験からゲーム作ったという個人開発者さんは結構います。

プログラミングを全くした事のない人のイメージでは、ゲームプログラミングというと最も難しい部類のプログラミングみたいな考えがあるかもしれませんが、そんなことはありません。

どんな方法でもいいから思った通りに動けばいいというレベルのプログラミングなら年齢、性別、職種に関わらず割と簡単に出来てしまうものです、そして個人制作レベルのゲームならそれくらいのレベルのプログラミングで十分です。

出来上がったものは効率性、メンテナンス性ともにほぼゼロと言ったシロモノになりますが、そこは気にしないようにしましょう。

どうせ個人制作ゲームなんてそうそうアップデートなんてしませんし、もしバグや思いがけない人気でアップデートの必要が出てきても、そこは勝手知ったる我が家です、なにせ全てが手作りのDIYですから他人にとっては地獄の池でも自分にとっては見慣れた庭みたいなものです、保守性の低さは気合と根性でカバーしましょう。

それに、何度か作っている内、下手は下手なりに段々とスキルが上がってくるものです、最初は見えない部分の作り込みなんかよりも、モチベーションの維持と完成させることが何より重要です。

必要なスキルは?

検索スキルです。

分からないことや、ここはもうちょっと良いやり方がありそうだなと思ったら、取敢えず検索しましょう。その内、自分はコードを書いているのかネット上のコードを収集してモザイク画を描いているだけなのか分からなくなって来ますが、気にしません。

いつか絶対にコピペだけでは自分の思ったものが実現出来ず、モザイク画に自分の描いた線を入れたくなるときが来ます、その時は素直に沢山悩んで、試行錯誤しながらコードを書いてみましょう、それを続けている内に段々とスキルがあがってきます。

逆に言えばモザイク画、つまりコードのコピペだけで済ませられるならそれが一番だということです、最初は町一番のモザイク画職人を目指しましょう。

ちなみにコードにもキチンと著作権はあります、そこは注意しましょう。

でも少しはプログラミングの勉強してから作り始めた方が良いよね?

これは半分イエスです。

変数だとか配列だとか関数だとかプログラミングの初歩の初歩くらいは一応ネットで調べてみてからの方が良いかもしれません。

但し、それらは1日で済ませてしまいましょう、理由は簡単で楽しくないからです。

楽しさ、自分の入力によって画面上のゲームキャラが動いた時の喜びは「Hello World!」の1万倍はあります。ぜひ手を動かしながら勉強しましょう。

 

絵も描けないし音楽についてもからっきしだけど大丈夫?

大丈夫です。

僕も絵はまったく描けませんし、音楽方面についても何のスキルもありません。

ここで必要になってくるのは妥協です。というか個人制作ゲームというのは妥協と挫折の連続です。最初に企画したゲーム、頭の中ではあんなに綺羅びやかに輝いていたゲームが、いざ完成してみると見るも無残な姿になっていたということは全く珍しくありません。というか、望んだゲームが手に入ることなど絶対にありません。

多くの個人開発者にとってグラフィックは最初に妥協を強いられる部分です、これはもう仕方ありません、結婚相手に望む希望年収みたいなものです。

世の中にはフリー素材でキャラ絵や背景画像を公開してくれている、いわば個人開発者にとっての神もいますし、ドット絵やボクセルという絵心のない人間でも比較的簡単にデザインできる便利なツールもあります。

音楽も、たまたま知り合いの新作ゲームをプレイしてみたら自分のゲームのエンディングBGMが便所のマップのBGMに使われていた、っていうくらいには多くの個人開発者がフリーBGMを使っていますから、ありがたくフリーBGMを使わせていただきましょう。

ちなみに多くのフリーBGMには商用禁止のものと商用OKのものがあります、アプリに広告をつけるならキチンと確認してから使わせてもらいましょう。

必要なソフトウェアは?(Unity,Cocos2d-x)

Unityです。

RPG風のフリーゲームを作るならRPGツクール、ノベルゲームを作るならそれに特化した制作ツールなどもありますが、ことモバイル向けゲームアプリに関してはもうUnity一択で良いと思います。

何かを始めようとする人の陥りがちなワナに「絶対ハズレを掴まされまい!」と、道具の選定にとにかく時間をかけて、肝心のやりたかった事を中々始められない、というものがありますが、ゲーム制作においてもそこはあるあるな話です。

僕がゲーム制作を始めた1年半前にはCocos2d-xという道具もそれなりに有望株で、僕も悩んだ挙句Unityを選んだのですが、その半年ほど後にUnityJapanの方とお会いする機会がありCocos2d-xの事を聞いてみた所、軽く鼻で笑われ、もはやまったく歯牙にもかけておられないといった感じでした。

まあこれは少し色眼鏡であったかもしれませんが(UnityJapanの方ごめんなさい)それくらいUnityは流行っているということです。

個人開発者、特にプログラミングに自信のない初心者にとってはツールの出来や使いやすさや完成度など、そのあたりは正直あまり関係ありません、流行っているかどうか、そして検索した時にGoogleが望んだ文字列を返してくれるかが全てです。

その点Unityは日本語情報も、日本語の書籍も多いですし、安心かと思います。

具体的な始め方は?

わざわざ書くほどのことでもないと思いますが、これは大きく二つあります。

一つは本を買うこと「unity 入門 本」で検索すると沢山出てくるので気に入ったものを買って読みましょう。殆どの場合、簡単なゲームを作りながらunityやC#を学ぶという構成になっているはずです。

もう一つは「unity 入門 チュートリアル」と検索する方法です。こちらもゲームを作りながら学べるチュートリアルが沢山出てくるはずです。気に入ったものをやってみましょう。

どの程度の制作期間が必要?

見積もりの5倍です。

1週間だと思ったら5週間、1ヶ月だと思ったら5ヶ月かかります。

ゲーム制作初心者がゲームを作る場合、まず上記で述べたように書籍やチュートリアルで簡単なゲームを作ります。ですから「さあこれから自分のゲームを作るぞ!」と考えた時、天秤の片側にはさっき作ったチュートリアルゲームが乗っかっていて、その釣り合いを見ながら「うーん、こういうゲームなら1ヶ月くらいかな?」と考えるわけです。

しかし残念なことにその目論見は大きくハズレます、なぜならチュートリアルゲームにはデバッグの必要がなかったからです。これは一度バラした電卓を組み直すのと、秋葉原でパーツを買ってきて電卓を一から組み立てるくらいの違いがあります。

ゲームを作り始めると買ってきたパーツが間違っていたことに気付き、また買い出しにいったり、そもそも何が必要か調べる事が頻繁におきます、もちろんゲーム制作初心者の方もそういった事をコミコミで「まあ、1ヶ月くらいかな?」と見積もるのですが、多くの場合、制作に入ってしばらくするとそれが甘い目算であったと気付きます。

ちなみにそういった事を考慮にいれず「まあ、1ヶ月くらいかな?」と見積もった場合は10ヶ月かかります。

一人でも作れる?

作れます。でも二人の方が嬉しいし、三人だともっと嬉しいです。

初心者のゲーム制作において一番重要なのはモチベーションです。ゲーム制作を開始しようと心に決めた時、あなたのモチベーションは坂を登り始めます、チュートリアルを一通りこなし、少しゲーム制作に自信がついてきます、想像より簡単だったと思うかもしれません、あなたは段々と自分だけのゲームが作れるような気がしてきます、そして頭の中に思い描きます、自分が本当に作りたかった、恋い焦がれたゲームの理想像を。

この瞬間がモチベーションの最高潮です、大体雲の上あたりにいるでしょう。

ここから一気に急降下します、坂を下っているというよりはHALO降下に近いです、これは別に冗談だったり、大げさな物言いをしているわけではありません。いざチュートリアルを終え自分の理想をゲーム企画に落とし込もうと思った時気づくからです。グラフィック部分で大きな妥協を強いられることを。

ですから、いざ実際にコードを書き始めた時の方がゲームを作ろうと決意した時よりもモチベーションが低いというのは別に珍しいことではありません。大体の場合「こんなショボグラのゲーム面白いのかな?」みたいな考えが頭をよぎります、そこに輪をかけて「作ってもどうせ誰も遊んでくれない」だとか「こんなものなら作らない方がマシ」という思考が降ってくるわけです。

ここで必要になってくるのが同好の士です、心強い友です。これは別にゲーム制作に限ったことではないですよね、誰かと一緒にやれば途中で挫ける可能性はぐんと下がります。

はっきり言って、初心者が二、三人集まった所で効率性はあがりません、むしろ一人で作ったほうがはやいかもしれません、しかしそれはモチベーションを維持出来ればの話です。自分は鉄の意志を貫けるという方以外は複数でやれる可能性があるなら複数で作ることをオススメします。ゲーム自体は別々のものを作り、進捗報告だけでも構いません。

もし、友人に特殊スキル持ち(絵が描けたり、作曲ができたり)の人物がいるなら、それは天啓です。自分の恵まれた環境を神に一言感謝してから友人をゲーム制作という地獄へいざないましょう。

ちなみに僕は一作目は友人と一緒に、二作目は友人と進捗報告しながら、三作目は進捗報告も殆どなしに作りましたが、二作目は一作目の倍、三作目は二作目の10倍の時間がかかりました。

どのくらいの費用が掛かる?

1万超~10万超です。

モバイルゲームの開発に掛かる費用は、あなたがAppleを愛しているか否かで大きく変わってきます。Appleというのはもちろん欠けたリンゴのあの企業のことです。

あなたがAppleを愛しているなら費用はおよそ1万5千円程です。これは「iOS Developer Program」と「Google Play Developer」という、モバイルゲームを各ストアで配信するために必要なデベロッパー登録に掛かる費用です。

あなたがAppleをあまり愛していないならかかる費用は上記に加えて、最低でも「MacMini」5万円「iPhone」5万円の系10万円がプラスされます。これはiOS用にゲームを作ろう(build)と思うとMacのPCが必要なこと、更にデバッグにもiPhoneが必要なことから掛かる経費です。

一応お金を掛けずに済む方法もありますし(「ios build 代行」 で検索しましょう)そもそも、これはゲームがほぼ完成してからの話です。Appleをあまり愛していないという方もあまり悲観せずにおきましょう。

というか、Androidでしかゲームを出していないという個人開発者の方も割といます。

どれくらい儲かるの?

まったく儲かりません。

これはホントに儲かりません。

数年前までは、大手のゲーム会社もまだネイティブアプリ市場には本格参入しておらず、個人開発者の天国のような時代があったらしく、その頃であれば大きめの車を買えるくらいには儲かったみたいですが、現在のモバイルゲーム市場は完全なレッドオーシャンです。

非常に競争の激しい市場です。大手のゲーム会社が企業生命を掛けてしのぎを削ってるのに個人開発者が割って入れるわけがありません。

もちろんゴク稀に天性の才能を発揮してヒットを飛ばす個人開発者もいますが、それは例外です。例外になれる自信のある方は儲けられるかもしれませんが、普通は無理です。

しかしほんの少しであっても、自分の作ったゲームアプリからの収益が口座に振り込まれると、それはそれは嬉しいものです。大人になってから貰えるお年玉程度に考えて気楽にいきましょう。

広告を貼りたい…

どんどん貼りましょう。

AdMobというGoogle子会社の広告企業が全世界に対応していてオススメです。ゲーム制作初心者ならこれ一本で良いと思います。

バナー、インタースティシャル、動画、更にリワード広告など色々、種類や用語がありますが、個人制作のゲームでは企画段階からそんなに難しく考えず出来上がってから組み込んでいっても全然良いと思います。

逆に「バナー広告をここに入れるからここのスペースは空けておこう」などと考えて、ゲームの幅が狭まると勿体なく思います。というかそもそもバナー広告はまったく儲からないのでハッキリとその考えは捨てましょう。

今は色々な仕組みがあるので、なんだかんだ広告を入れる場所はあります。取敢えず広告のことは考えずに作ってしまいましょう。

広告会社のほうも、アプリをリリースしてストアのランキングなどに一瞬でもアプリが載ると「スパムかな?」と思うくらい「自社アドネットワーク利用のお誘い」メールがいろんな企業からロシア企業の怪しいメールと一緒に届きますから、それから考えれば良いと思います。

誰も遊んでくれないか不安…

大丈夫です。どうせ誰も遊んでくれません。でも絶対に誰かが遊んでくれます。

僕の作ったゲームアプリにも100DL以下のものがあります、それでも0DLではありません、多くの人に遊んで欲しいという夢は中々叶わないかもしれませんが、絶対に誰かは遊んでくれますし、面白ければきっと素直に面白いと言ってくれます。

それに本当に面白いものが出来ればもっともっと多くの人が遊んでくれます、ツイッターSNSやブログで面白いという感想を書いてくれるかもしれません。めげずに頑張りましょう。

ちなみに、面白かった場合は面白いと言ってくれるのと同じようにツマラナイ場合はツマラナイと言われます。それはもう率直な言葉でボロクソに言われます。特にストアのレビューは酷いです。折角時間を掛けて作って、ストアで配信して、何が悲しくてこんな罵詈雑言を読まなければいけないんだと思うかもしれませんが、多くの場合ユーザーに悪気はありません、それが正直なゲームの感想であるだけです。耐えましょう。

どうやって宣伝すればいいの?

まずはtwitterやブログで宣伝しましょう、それにリリース前には予約サイトでも宣伝しましょう。

個人制作ゲームはハッキリ言って宣伝が全てです。最初にそれなりの人数がプレイしてくれないことには口コミもクソもありません。とにかくゲームが完成したら頑張って宣伝しましょう。

たまに、自分でもツマラナイと思ってるのに「面白いゲームです!」なんて言えない、絶対「ツマラナイ!」って言われるし宣伝ははばかられるという方がいますが、多くの場合、宣伝しなかったゲームは「ツマラナイ!」とも言われません。無です。本当に無です。前記した僕の100DL以下のゲームも完全な無でした。これほど悲しいことはありません。はばかったりおもんばかったりしてないで宣伝しましょう。

ツイッターもブログもやってないから宣伝できない…

これについてはなんとも言えません。というか僕もそうでした。

「なら、俺が自分のtwitterやブログで宣伝してやるから、URL送ってこい!」くらいカッコイイことを言ってみたいですが、僕もつい1週間程前にtwitterを始めたばかりのナメクジですし、ブログもこれが初投稿で何の影響力もないです。

取敢えずゲーム制作と平行してtwitterを初めてみたら良いと思います。

プレスリリースは送ったほうが良い?

送りましょう。個人開発者でもなんの気兼ねをすることもありません。

僕はメディア企業に勤めたことはないので伝聞でしか実情をしりませんが、興味のないプレスリリースメールは何の感情もなくゴミ箱に放り込むらしいので、別にクソゲーだったから着信拒否されるということもありません。

ちなみに僕はプレスリリースを送って記事にして貰えたことは一度もありません。打率ゼロ、完全無視されています。但し、目ざといゲーム系メディアの方は結構、個人開発のゲームなんかもチェックしているらしく、リリース後、プレスリリースとは関係なく記事を書いて頂けた事は何度かあります。

ちなみに当然ですが、記事になるといっても何か連絡なんかがあるわけではありません。

その他の細かいこと

アイコンと紹介イメージは頑張って作ろう

紹介イメージやロゴの見た目は個人的に結構大事だと思います。ゲームをDLインストールするユーザーはそのゲームが個人開発かどうかなんて一切気にしていません。

なので、あからさまに低クオリティな紹介イメージだとその時点でユーザーのクソゲーフィルターに引っかかり網膜には映っていても脳には届いていないということになりかねません。

逆に紹介イメージとロゴだけでも頑張って普通のゲームっぽい水準まで上げられれば、ユーザーも一応ゲームとして認識してくれます。

ゲームには直接関係ない部分なのでやる気が出ないかもしれませんが、紹介イメージやロゴ、アイコンも頑張ってクオリティアップしてみましょう。

アプリリリース後、DL数が伸びなくても落ち込まない

 個人開発ゲームに限らず大手のゲームでもそうだと思いますが、DL数が一番伸びるのはリリース初日から数日であとは下り坂です。大手のゲームならCMやコラボ等々、色々な施策でDL数がまた伸びることがあるのでしょうが、個人開発ゲームでは大抵の場合は一度沈むともう上がってきません。

しかしチャンスはあります。例えば上述したゲーム系メディアの記事であったり有名youtuberの実況であったりがそれです。

ちなみに、僕が最近リリースした「7年後で待ってる」はそのどちらのチャンスもあったにも関わらず、おそらくカジュアル系ではなかったためだと思いますが全然DL数が伸びませんでした。しかしGooglePlayの急上昇ランキングにのったお陰でそこそこランキングの上の方まで行けるということもありました。

何がきっかけでDL数が伸びるかは分かりません。期待せずに待っていましょう。

最後に

以上、昔の自分に伝えられるなら伝えたいことを書いてみました。

おそらくこのブログのこの記事を読んでくれる方は数人くらいだと思いますが、これを読んでゲームを作り始めたという人がいたらとても嬉しいです。

*1:ゲームを作り出す前、webサイトを作ろうとしていたので厳密にはゲーム制作開始時に全くの未経験だったというわけではありません