Hirayaブログ

@fumi_mdのブログです。たまに何かを書くと思います。

中国の元非合法翻訳グループからアプリローカライズのお誘いが来た話

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先日アプリをリリースした所、Pujia8スタジオという中国の翻訳グループから「アプリを中国語に無償でローカライズしたいがどうか」とのお誘いがありました。今回はその経緯をまとめてみます。

結論

結論(まとめ)だけ先に書いてしまいます。
ローカライズのお誘いメールを送ってきたのはPujia8スタジオというグループです。
このグループは元々日本のゲームを勝手に中国語に翻訳する非合法集団だったのですが
現在は日本の大手ゲーム会社の翻訳案件なども手がける合法的な企業に生まれ変わっているようです。
そこで僕も制作したアプリのローカライズをお願いすることにしました。

以下、ことの経緯をメインになぜ非合法活動をしていたグループが合法的な企業に生まれ変わったのか、急成長する中国のAndroidアプリストア市場や中国での著作権意識の移り変わりなども書いていきたいと思います。

メールが来るまでの経緯

ゲームを作りました

先日「7年後で待ってる」というゲームアプリをリリースしました。

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7年後で待ってる(iOS)

7年後で待ってる(Android)
最初はあまりパッとしたDL数でもなかったのですが、GooglePlay内で急上昇アプリとして紹介されたことから多くの人に遊んで頂けたようです。お陰様で総合ゲームランキングにも載ることが出来ました。
これは僕にとっては予想外の出来事だったので本当に嬉しかったのですが、そんなある日メールが届きました。
総合ランキングにアプリが載ると企業の目にも付きやすくなります。アドネットワークのお誘いメールがきたり、なんだかグレーな匂いのする海外からのブースト施策のお誘いメールや、ロシアからのまったく読めないメールが来たりします。

そんな風に色々なメールが来ていたので、最初はまたそういった勧誘の類だと思っていたのですが違いました。

変なメールが届いた

件名は「中国語版ローカライズの許可のお願い」送り主は「Pujia8スタジオ」

内容は「私たちはあなたのゲームを愛しているので(原文ママ)ローカライズさせてほしい」というものでした。

Pujia8スタジオって何だ?

調べてみました

当然ながらまずは「Pujia8スタジオ」で検索します。

すると一番上に出てくるのが以下の記事です。というかこの記事以外には一切情報はありません。

簡単に要約してしまうと、とある日本のゲームアプリが無許可で中国語化されているのを発見した。調べてみたら内部の広告まで書き換えられていた、という話です。 

アプリが勝手に中国語化されてリリースされていると聞いて調べてみたら、想像以上にやばかった – tomeapp 

非道い話ですね。

Pujia8スタジオを一言で表すなら「日本のアプリを勝手に翻訳して儲けてる集団」といった感じでしょうか、最大限好意的に解釈すればファンサブ活動ともとれますが、いずれにせよ非合法集団であることに変わりはありません。

断ろうと思った

上記の記事を読んだ時点では断る気満々でした、得体がしれないというか恐いですし。

但し、直ぐには断りませんでした。

なぜか?メールの提案が魅力的だったからです。

メールにはこう書かれていました。

私共は無償でゲームの翻訳をさせて頂きます。中国語版のスタッフリストに私共の名前を載せるだけでいいです。ゲームの収益や売上などは全てそのままhiraya-space様のものとなります。配当金なども頂きません。

はい。つまりお金の魔力に負けました。

そもそもなぜ許可を取るんだろう?

上記の記事によれば、Pujia8スタジオは無許可で日本のアプリを中国語化している集団です。しかし、そうであるなら僕に許可をとる必要はありません。

ということで、もう直球で「"Pujia8"で日本語検索をすると"日本のアプリを勝手に中国語化して配信しているサイト"と出てくるんですけど、これは事実ですか?」と聞いてみました。

Pujia8スタジオとメールのやり取りをしてみた

信用出来る?

上記の質問を送ってみた所、こう返ってきました

申し訳ありませんが、こちらは事実になります。今までの行いについて、重ねて謝罪いたします。
全ては私たちの著作権・コピーライトへの意識の低さが招いた過ちです。
ご存知かもしれませんが、しばらく前まで、中国での著作権・コピーライトなどの意識は極めて低かったです。私たちも、中国版を作るのに許可を取る必要があるとはそもそも思ってもいませんでした。今では自分の行いの愚かさに恥じています。今ではかならず許可を取って、中国版を作るようにしています。ゲームの内容も、中国語への翻訳を除き、一切の改変をしないと保証いたします。
重ね重ね申し訳ありませんでした。もう二度とそんな過ちを繰り返さないと誓います。
どうか私たちにもう一度チャンスをください。

皆さんどうでしょう?信用出来ますか?

正直僕は、最初よりは少し印象が良くなったとはいえ信用出来るとまでは言い切れませんでした。なぜか?

一緒に来た契約書がメチャクチャ怪しかったんですよ!

契約書の内容

契約書は前段と後段に分かれていました。前段にはPujia8スタジオに代理配信の許可を与える旨、そして後段にはこう書かれています。

また、甲は当ゲームの著作権を完全保有することと第三者の合法的な権利を侵害しないことを保証する。甲は上述内容の真実と合法性を保証する。当ゲームの著作権問題で引き起こした経済および法律的な責任はすべて甲が引き受けるものとする。

めっちゃ恐いです!

甲とは僕のことです。僕は最初にこれを読んだ時思いました。きっと今、詐欺の入り口に立っているんだ、と。

まあさらっと流してしまいますが、この文面は問題のあるものではありませんでした。よくよく読めば分かりますが、自分の作ったゲームアプリがキチンとオリジナルであること、そしてもしパクリであったらその時の責任は全て自分で取れよと言っているだけです。

むしろ本当に問題だったのは前段です。無償ローカライズという話だったのに、Pujia8スタジオに中国配信の代理権を与え、しかも契約方式が独占であると書かれていたのです。

何か隠している気がする

最初のメールにも一応ローカライズした暁にはPujia8スタジオの運営するサイトで配信したいとは書かれていました。しかし独占云々についての記載はまったくありません。

条件を小出しにするのって信用出来ないですよね。何より前科があるわけですから。

僕はこの時点ではPujia8スタジオとその中の人を、権謀術数に長け、ITに精通し、法律の抜け穴を使い富を集める手練のマフィアみたいなイメージでいました。

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なのでもう「これは騙すか騙されるかの世界」「絶対に僕は騙されないぞ!」くらいに考えていました。

ですが、本当に無償でローカライズして貰え、収益を全ていただけるのならそれはそれは嬉しい話です。

なんとしてもお金がほしい!お金の魔力には勝てない!というかお金がなくてやばい!

ということでまたしばらく悩んだ挙句、僕はもう気になったことを全て直接聞いてみる事にしました。

ちょっと恐かった

もうとにかく質問攻めにしました。

業務中にこんなメールが来たらブチ切れるっていうくらい沢山質問しました。しかもそれまで、疑っているなんて態度はおくびにも出さず非常に丁寧なやり取りをしていたのですが(最初の無断ローカライズは本当ですかという質問は除く)

それが、いきなり人が変わったように根掘り葉掘り質問をしてしまったので相手が怒り出さないか結構ビビっていました。

結果どうなったかというと。

アプリ内の広告を書き換えていた件について

平謝りでした。一部引用します。

Q.日本の記事には無断でローカライズしていた頃は翻訳だけでなく、アプリ内部の広告も自社のものに書き換えていたとありますが、事実でしょうか?
A.申し上げありませんが、それは事実になります。当初ネット上の集まりでしかない私たちは、プラットフォームの維持にお金が必要でした。それで広告を書き換えるなどしたんです。
開発者の皆様に重ねて謝罪いたします。申し訳ありませんでした。

しかし、どうしてそんなことをしたんでしょうか?

ここから僕がPujia8スタジオに聞いた話を掻い摘んで説明したいと思います。

ホントは全文載せたいくらいですが質問数があまりに多く、回答もとにかく長い上に受け答えに重複している部分も多いので要約します。

Pujia8スタジオと中国のゲームファンサブ

Pujia8スタジオの始まり

中国では2000年から「ゲーム機禁制令」という法律が施行されています。これは読んで字の如くそのままの意味です。ゲーム機を禁止する法律ですね。

今では少し緩和されましたが、00年代の中国ではゲーム機(PSやxbox,Wiiなど)は禁止されていたのです。なので一般の人たちはゲーム機を買うことが出来ませんでした。

但しどこにでも抜け道はありますし、好事家、オタク的な人はいます。そういった人たちは当局の目を盗み、香港経由などでソニーや任天堂のゲーム機を手に入れていました。

しかし、ここで一つ問題があります。ゲーム機が禁止されているのだから当然ソフトも売っていません。

折角ゲーム機を手に入れても遊ぶソフトがないわけです。ソフトも裏ルートで買えば良いという発想もありますが、ゲーム機に比べソフトは種類も多く一々全てのソフトを買ってくるというのは少々現実的ではありません。当時の中国は著作権意識もまだ低く、当然の成り行きとして中国のゲーマーたちはソフトをネット経由で手に入れようとしました。

さてソフトをネットからDLしました。しかしゲームの多くは日本語や英語です、このままでは遊べません。ここで翻訳集団が出てきます。

折しも00年代は子供の頃、日本のアニメで育った世代がネットの中心となっていました。web上には日本語の達者な中国人が沢山います。そういった人たちの一部がアニメの翻訳を手がけるファンサブ集団となり、また一部がゲームの翻訳を手がけるグループとなっていきました。

そうして沢山の日→中ゲーム翻訳集団が生まれるわけですが、その中の一つがPujia8スタジオでした。

そこそこ成功した

どこの世界にも競争はあります。

Pujia8スタジオは翻訳集団の中ではそこそこ有名になれました。何故かと言うと翻訳の質が高かったからです。

当時の翻訳集団の中には日本語の漢字だけを見て雰囲気でテキトーに翻訳をでっち上げてしまうエセ翻訳家グループも沢山いました。そうした人たちを中国語で「塞式翻译」と言います。ユーザーもおかしいなとは思いつつ、日本語が分からないので仕方なくデタラメ翻訳のゲームをプレイしたりしていました。

そうした状況であれば正確な翻訳を続けるPujia8スタジオの人気と知名度が上がっていくのも頷けるでしょう。当然ながら人気が出ると人も集まってきます。人が集まると場所が出来ます。そうして出来た場所、それが現在のPujia8スタジオのwebサイトでした。

しかし、ここで一つ問題がおきます。Pujia8スタジオは金儲けが下手だったのです。

まあ簡単な話で元が日本のゲーム好きがこうじて日本語まで憶えてしまった人たちが集まって出来ただけの集団です。もう明らかにお金儲け下手そうですよね。だってそもそもがただのゲーム愛好家ですから。ゲームの翻訳をする内にユーザーも沢山集まってきて自分たちのwebサイトを作ったまでは良かったものの、そのサイトを維持するだけのお金はありませんでした。

そうして無断で広告を書き換えたり、その他諸々の悪事に手を染めることになります。但し、それ自体が悪いことであるという意識は殆どありませんでした。

その後、Pujia8スタジオは自慢の翻訳家集団を纏めて引き抜かれかけたり(実質数ヶ月引き抜かれた)潰れそうになりながら、時は流れて行きました。

時代が変わった

ちょうどVitaが発売された頃(中国での発売は2015年3月)大きな事件がありました。当局が「ゲーム機禁制令」を緩和したのです。

これによってそれまでの潮目が大きく変わりました。中国でも著作権意識が高まり、それまで普通の事であった違法DLが逆に通報されるようになったりしました。

ゲームは買うものという認識が人口に膾炙し、Steamでは中国ユーザーが急増、今や売上はアメリカに次ぐ2位にまでなりました。

Pujia8スタジオの周辺でもその影響は様々な形で表れました。2015年から2017年といえば数字にしてしまえばたった2年ですが、それは大きな変化でした。

そして、この流れを見ていたPujia8スタジオは自分たちも変わらなくてはいけないと決意します。

元々、Pujia8スタジオは合法的な翻訳業務で収益をあげる企業にいつかなりたいと考えていましたから、この規制緩和と世間の変化は渡りに船でもありました。

会社化する

まず、日本の大手ゲーム会社から有償翻訳の案件を獲得するためPujia8スタジオを会社化しました。

実際にはそれまでも名前は出せないもののビッグタイトルの翻訳に関わっていたらしいですが、とにかく会社化することでそれまでの非合法的な活動ではなく合法的な企業としてゲーム産業に関わっていくと決めました。それが今年の1月のことです。

そしてこれまでの無断ローカライズを止め、制作者に許可を取るようになったのも同じ月のことでした。

該当部分をメールから一部引用します。

当時は「※※※(注:ゲーム名)」というゲームがリリースされていて、私個人がとても気に入りました。開発者さんに連絡したところ、まさか許可をいただけるとは思ってなくて、びっくりしました。そして嬉しくなりました。それで許可を取るのに自信が付きました。

しかし全てが上手くいったわけではありません。というかむしろ全然上手くいきませんでした。最初の合法ローカライズから数ヶ月、Pujia8スタジオでは開発者数十人にメールを送ってみたものの、殆ど返信はなかったそうです。更に返信があっても半数はお断りメールであったとか。

まあ当然ですよね、だってググったら1秒後に出て来る画面がこれですから。しかも全て事実ですし。

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そして8月に入りAndroidランキングに載っていた僕のアプリを見てメールを送った所からこのブログの冒頭につながるわけです。

この話は本当か?

概ね事実だと思います。

当然嘘でないという保証もありませんが僕個人は信じました。

理由はいくつかあるのですが、一番大きなものは合法企業化した際にそれまでの団体名であるPujia8という名称を捨てていないということです。もしも本当に悪の組織のようなものであったならわざわざ名称を引き継いだりはしないででしょう。

Pujia8スタジオの人々は本当に自分たちの事を悪い組織だとは思っていない、つまり過去についても偽る必要がないと考えている、と僕は考えました。そもそも僕へのメールでまで過去を偽るのなら、名称も経歴も何もかもあたらしくしてしまった方が早いですから。

僕はメールのやり取りをする内、マフィア的だった中の人のイメージが少しずつちょっと抜けたギーク的なイメージへ変わっていきました。

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説明しきれなかったこと

書き切れなかった事が沢山あるので少し書き足していきます。

代理権、独占契約とはどういうことなのか

代理権

当記事を読んでいる読者の方はご存知かも知れませんが中国ではGooglePlayが規制されています。

ですから中国でAndroid版アプリをリリースしようと思った場合、乱立するAndroid系のストア一つ一つに自ら申請していかなければなりません。はっきり言って日本人の個人開発者がこれをやるのは無理です。というか一つでも無理だと思います。

更にテンセントなど最大手では政府の許可番号まで必要だそうです。もう出来る気がしないというよりやる気がおきませんね。

そこでPujia8スタジオは各ストアへの申請を代行してくれるそうです。それでもテンセントなど大手への申請は難しいそうですが、そもそもそういった大手ストアには個人開発ゲームは殆どないとか。代理権契約が必要になるのはこれが理由です。

独占権

次に独占契約ですが、これは削除申請を通りやすくするためだそうです。

中国では雨後の竹の子並にAndroidストアが乱立しています。著作権意識もまだ低いですからローカライズしたゲームは高い確率で転載されます。更に多くの場合そういったストアでは内部の広告も書き換えているそうです(Pujia8も昔はそうでした)

そういったサイトに対して法的根拠を持って「中国国内ではうち独占だからおたくのストアにあるのはおかしい!削除して下さい!」と言うために必要なので独占契約とのことでした。独占でない場合にも削除申請自体は出来ますが、相手から「許可は取っています」と言われた時の確認の面倒くささが、独占の場合の比ではないことは理解出来ると思います。

つまる所、代理権契約も独占契約も個人開発者のためだということですね。僕は最初これがまったく信じられなくて繰り返し繰り返し聞きました。しかし概ねこれが事実のようです。

ちなみに独占契約は3年間(僕の場合ですが)です。永遠ではありません。しかも独占はあくまで中国語のAndroid版に限った話でIOS版や日本語版については自由に管理して大丈夫ですし、極端な話、Windows用のPCソフトとしてゲームを出したくなったら自由に、翻訳したファイルを使って中国語版を出して下さいとのことでした。

個人開発者にとっては魅力的な提案だけどPujia8スタジオには何の利益があるの?

僕はメールのやり取りをしている間、ずっと腑に落ちないことがありました。

というのも無償ローカライズをしてPujia8スタジオに何の利益があるか分からなかったからです。

前段でも書いた通り契約によって生じる不都合は開発者側には殆どありません。

加えて僕のアプリは結構な文章量があります、これを普通に日中翻訳して貰おうとプロに依頼すれば、おそらく百万近いお金を払わなくてはいけません。代理配信を依頼するための料金もかかります。しかしPujia8は全て無償です。

別にPujia8の翻訳精度が低いというわけではありません、Pujia8は既に述べた通り非合法とはいえ様々な実績がありますし、名前は出せないもののその時代から合法案件にも色々関わってきたそうです。会社化してからもDMMの刀剣乱舞やスクエニの案件に関わっているとのことでした。つまり普通にプロです。

このコストとリターンのギャップが何か隠しているんじゃないかと疑いをもってしまう要因の一つでもあったと思います。

回答

これについても一応聞いてみた所、答えはこうでした。

「小さな案件でも良いから合法的な翻訳で実績を積み上げビッグタイトルの案件を取りにいきたいから」

更に加えて「個人開発のゲームは(制作者が)儲からないから、少しでもお手伝いしたい」「個人開発ゲームは翻訳する部分も少なく、小さな手間で出来るので翻訳家を遊ばせるくらいなら全然構わない」とのことでした。

ここだけ聞くとちょっと怪しく感じるのですが、Pujia8スタジオというグループの成り立ちを考えると、僕はこの受け答えにとてもしっくり来ました。そして同時にまた倒産しそうになるんじゃないかと心配になりました(1月に会社化したばかりなのにもう2回程倒産しかけたらしいです)

つまりPujia8スタジオってゲーム好きの集まりなんですよね、これを聞いた辺りから僕はPujia8スタジオのことをそれほど悪く思わないようになってきました。

もちろん広告書き換えの件などはいけないと思いますが。

ちょっと打ち解けたので色々本音で聞いてみた

ホントに合法化したのか

まずPujia8スタジオが本当に合法化したのかが気になったので、グレーな部分は一切なくなったの?と聞いてみました。

答えは半分NO。依然グレーな部分は残っているらしいです。

僕も中国語は分からないなりにPujia8スタジオのサイトをチェックしてみました。すると、GooglePlayで配信している無料アプリのapkが普通にDL出来る状態になっています。広告を含め内部の書き換えはしていないようですがちょっと問題がある気がします。

これについて伺ってみた所、中国の現在の法体系ではOK(ただしグレー)だそうです。しかしグレーですから最大手の配信サイトはそういうことをしていません(但し最大手ではない大手合法サイトなどはやっています)

Pujia8スタジオでも近い将来最大手のサイトのように完全に白だと言える状態にしたいと言っていました。但し今それをすると多分倒産する、とも。

悪いことだと気付いていたのか

Pujia8スタジオでは主に、家庭用ゲーム機のソフトの海賊版言語パックを配布したり、無料アプリの中国語ローカライズを行ったりしていたそうです。これについて本当に違法性を認識していなかったのかと聞いてみた所、意外な答えが返ってきました。

まず、言語パック配布と無料アプリの無断ローカライズですが、これについては本当に悪いことだとは思っていなかったそうです。確かに公式にサポートされていない地域での言語パックについては、なんとも言えないような気もします。

但し、違法性については明確に認識していたそうです。

どういうことか?

つまりここでいう違法性とは中国当局に対する違法性です。中国ではゲームが禁止されていましたが、Pujia8スタジオはそれを承知で中国のゲーム好きのために言語パックを翻訳・配布していました。いつ当局に目をつけられてもおかしくない状況だったというわけです。そうした意味で違法性は認識していたとのことでした。

次に広告書き換えの件ですが、これについてはやはり多少悪いことだと分かっていたようです。但し、その行いによって制作者の取り分が減るとは考えておらず、その認識のずれが過ちを犯してしまう原因となったようです。

どういうことかというと「代理権」の項でも書いたのですが、中国ではGooglePlayが規制されています。そのため多くのゲームアプリはそもそも中国では流通していません。つまりそもそも市場に正規品がないのだから海賊版とはバッティングしないし、奪うような利潤もないだろうという論理です。

もちろん今では明確に誤りを認め、反省しています。更にあまり詳しくは聞けませんでしたがこの件については既に社会的、金銭的な制裁も受けているようでした。

契約書は後で良かった

僕が何度もやり取りして確認した契約書ですが、本来契約書は後からの提出でもよかったらしいです。

事実、翻訳より先に契約書を受けとることになったのは僕が初めてだとか。

そんなやり方で後から「契約書はやっぱり交わさない」と言われたらどうするの?と聞いてみた所、その時は翻訳した文章が全て水の泡になると言っていました。実際水の泡になったことは1度ではないとか。倒産する気がします。

そんなこんなで結局ローカライズを依頼した

ここまで来て結局ローカライズは断りました。と言ったら皆さんビックリすると思いますが、そんなことは当然なく、ローカライズを依頼しました。

結果はまだ分かりません。ローカライズがキチンと出来ましたら、twitterやブログにてお伝えしようと思っています。

なぜこの記事を書いたのか

他の個人開発者さんが二度手間とならないためです。

Pujia8スタジオはこれからも個人開発アプリのローカライズをしていくそうです。つまり今後も僕と同じようなメールのやり取りが何度も発生する可能性があります。それはPujia8スタジオにとっても個人開発者にとっても益のないことだと思います。

ですから僕が知ったことについては書いておきたいと思いました。もちろん自分で聞くことも大事なので今後Pujia8スタジオと取引する開発者さんはキチンとご自分で判断して下さい。

あともう一つ理由があったとすれば、つい軽い気持ちでメールの返信に「他の開発者のためにもなるし、この経緯をブログに綴っても良いですか?」と書いた所「そんな事を言ってくれた開発者さんは貴方がはじめてだ。とてもうれしい。ぜひ書いて下さい」と言われたからです。

日本語で検索すると悪評しか出てこないわけですから、おそらくPujia8スタジオも困っていたのでしょう。まあ身から出た錆なので仕方ないですが。しかし、僕はその時はまだtwitterもブログもやっていませんでした。軽い気持ちで何かを言うものではないです。

更にこれも書いておきますが、この記事では忖度することなく僕の思ったことややり取りについて偽りなく書いています。なのでもしかしたらPujia8スタジオの方が思っていた内容とは違うかもしれませんし、このブログを読んだら怒るかもしません。

ちなみに僕はPujia8スタジオが合法的に成功すること(と個人開発者)を応援しているつもりでこの記事を書いています。

メールや契約文章の引用部分についてはキチンと公開する許可を得ています。

ローカライズの逆オファーも受け付けているらしい

Pujia8スタジオに「中国ローカライズは個人開発者にとっては利益のあることなので、おそらく開発者側から依頼したいという人もいると思います。逆オファーを受け付けていたりはしませんか?」と聞いてみた所、常時絶賛受け付けているのででどんどん依頼してほしいとのことでした。

最初は依頼はメールでというは話だったのですが、結局メールはやめて依頼フォームを作るそうです。

もちろん全てのゲームをローカライズしてくれるわけではないと思います、リソースにも限りがあるので。

しかし興味のある開発者さんは依頼してみると良いのではないでしょうか。

あなたのゲームを中国語に無償翻訳してくれます

無償ローカライズの対象は個人開発者+独立系の会社、アプリにソーシャル要素が含まれていないものとのことでした。

ソーシャル要素というとカジュアル系でプチソーシャル機能がついてるみたいなものはどうなるのか?とかそういった事は僕にも分かりませんので迷った時はとりあえず依頼してみたら良いと思います。

依頼フォームについては公開次第URLを教えてくれるとのことでしたので、URLが分かったらこのブログかtwitterでつぶやくと思います。

(追記)書きました。

終わりに

こんなに長くなると思いませんでした。最初に書くと宣言していた「急成長する中国のAndroidアプリストア市場」について全然書けていない気がします。

もしかしたらまた続きを書くかもしれません。

最後に一応書いておきますが、この記事はあくまで僕の個人的な経験と主観に基いて書かれたものです。当記事を読んで何か損害を被ったとしても僕は取れる範囲でしか責任を取れません(当たり前ですが)キチンとご自分で判断して行動してください。

と、書いてみたものの前段でも述べた通り僕はPujia8スタジオさんのことを合法的な活動を行う限りは基本的に応援しています。クランチロールのように非合法な存在から有名な企業になった例もありますし、頑張って欲しいと思います。